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改正風営法の真実

84年改正・85年施行の新風営法は、一般生活に顕著な影響を及ぼしました。風俗営業が深夜12時までに規制されたことにより、終電なきあとにファッションマッサージに行くことができなくなり、始発までゲームセンターで時間をつぶすこともできなくなり、麻雀荘での徹夜麻雀も規制されました。

そして、05年改正・06年施行の新法は、84年改正以来の大きな変化を日本の風俗事情にもたらしたと言えるでしょう。なんといっても、この法改正によって、繁華街の風俗地図が全面的に塗り替えられたからです。すでに地域に溶け込んでいた優良店の廃業を寂しく思ったのは筆者だけではないでしょう。

改正風営法のポイントになる条文はここにあります。眼目はデリヘル規制の強化にありますが、なぜ店舗型風俗店を一掃する必要があったのか。実は、店舗型風俗店の一掃は、風営法ではなく、各地域の条例によるものです。たとえば、東京都は、吉原を除く全エリアが店舗型風俗の営業禁止区域になりました。

この事態に至った原因として、風俗店の無許可営業が多かったことが挙げられます。いろんなマンションにあったイメクラのほとんどは、無許可営業でした。従来はヤクザに許可を得れば、警察の許可はいらないというのが不文律でしたから、警察も無許可営業を黙認していたのです。

しかし、ヤクザに任せておくと、様々な問題が発生します。ぼったくりや客引きは昔から問題でしたが、ヤクザの管轄ゆえに、警察は民事不介入と称して、事態を放置していたのです。ところが、街の健全化を求める社会の声が高まってきて、警察も問題を放置できなくなったという経緯があります。

80年代には、歌舞伎町にずいぶんぽったくり店がありました。風俗好きの客にとっては悩みの種でした。84年改正法で営業時間が規制されたことで、深夜0時以降の違法営業が地下に潜り、かえって危険になったのも事実でした。ですから、乱暴な営業をしている店を撲滅する法改正はあってしかるべきでした。

ところが、05年改正法は、優良店まで軒並み撲滅するようなものでしたから、少しやりすぎではないかという声があります。確かにその面はあるのですが、これは警察に裏の目的があるものと思われます。つまり、警察は風俗営業の健全化を口実に、ヤクザの風俗利権を本格的に奪うことにしたのです。

その背景には、90年代後半にデリバリーヘルスが急速に増えたことがあります。デリヘルは無店舗ゆえに実態が把握しづらく、その上にチラシなどの宣伝合戦がエスカレートしたことで、市民生活に迷惑をかけていました。筆者の自宅ポストにもチラシが常に投じられ、捨てるのが面倒でした。

直接的には、この事態が警察を動かしたのです。98年の風営法改正で、当局の許可なくデリヘルを営業することはできなくなりました。しかし、皮肉にもこのことは、デリヘルなるものの存在を世間に知らしめることにもなりました。つまり、警察のデリヘル規制は、同時にデリヘル容認でもあったのです。

これは意味深長です。というのも、デリヘルの営業形態は、非合法産業のホテトルと同じだからです。警察が本気でホテトルを撲滅したいなら、デリヘルの存在は紛らわしいので、必然的にデリヘル型営業を禁止する方向に行くのが警察らしいやり方と言えます。しかし、そうはしなかったのです。

デリヘルとホテトルの違いは、本番があることを前提としているかしていないかの1点≠フみです。警察がホテトルを摘発しやすくしたいなら、営業形態の紛らわしいデリヘルは出店禁止にするのが筋でしょう。ところが、警察は逆に、わざわざ両者の識別を不能にする法改正をしたのです。

風営法によるデリヘルの定義はこうです。
<無店舗型性風俗特殊営業の定義>
人の住居又は人の宿泊の用に供する施設において、異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業で、当該役務を行う者を、その客の依頼を受けて派遣することにより営むもの。


この定義は、ホテトルの定義として見ても、何ら違いはありません。本番プレイの禁止は定義に含まれていませんが、その点の規制は売春防止法に委ねているわけです。しかし、売春を前提としたホテトルと、それを前提としていないデリヘルは、98年改正によって営業形態上の区別を失いました。

すなわち、98年改正による警察のデリヘル認可は、事実上、ホテトルの認可に等しいものだったのです。この点について、警察がどこまで自覚的だったかはわかりません。しかし、05年改正でデリヘル規制を強めたことからすると、ある程度の自覚はありながら決定したことが窺えます。

ひとつには、既得権の関係からデリヘルの全面禁止は難しいということがあったでしょう。潰すよりも取り込んだ方がいいという考えは自然な発想です。そして、この機会に風俗利権をヤクザから取り上げようとしたならば、もはや警察にとってデリヘルとホテトルの違いなどは問題ではないわけです。

ホテトルの問題点は、売春斡旋所だったことにありますが、本質的にはヤクザの管轄利権だったからこそ、警察はその存在に目を光らせていました。だから警察は、たまに売春防止法違反を建前にしてヤクザを牽制していましたが、利権が警察に移れば、もはや摘発の必要はなくなります。

98年改正は、ネット規制ばかりが問題視されたため、上記の点は見過ごされがちでした。しかし、改正のキモは、実はデリヘルの認知によってホテトルを無店舗型性風俗特殊営業の定義に取り込むことにありました。その目的は、警察がホテトル利権をヤクザから奪い取ることにあったのです。

05年改正法は、98年改正法の不備、つまりデリヘルの乱立を許容したかのような状態を正すための規制強化であったとされています。確かに05年改正は、風俗店営業に多くの足かせをつけました。デリヘルは受付所を持つことができず、宣伝方法もネットと電話に限定されました。

しかし一方で、営業時間には規制が設けられませんでした。そこで、店舗型風俗店がデリヘルのシステムを併用し、24時間営業を始める動きがあります。この面から見ると、05年改正法は、84年改正法の営業時間規制を事実上撤廃したに等しいのです。これは規制緩和策ということになります。

店舗内プレイを禁止したことも、かえって自由度を高めています。つまり、プレイがホテル内で行なわれる以上、店は客のプレイ内容を監視できません。警察が監視できるのも店だけで、ホテル内の客部屋にまで立ち入ることはできません。必然的に、風俗の密室化が進むことになります。

つまり、改正風営法は一見厳しく見えますが、妙に甘い面もあるのです。99年のいわゆる児童買春禁止法制定以来、当局は未成年売買春の取り締まりを強化していますが、一方で大人の男女については「ホテトル遊び」を黙認したというフシもあります。だとすれば、これはアメとムチということです。

ただし、こんな話もあります。警察がヤクザから風俗利権を奪うというのは、単なる手段に過ぎず、裏にはもっと大きな目的があるというのです。それは警察の目的というより、政府の思惑です。簡単にいうと、政府は従来型の歓楽街を撲滅し、富裕層のための新たな都市作りを進めようとしているというのです。

たとえば、新宿歌舞伎町は、最終的には現在の街並を一掃し、敷地全体に六本木ヒルズのような複合ビルを建設する計画があります。そのときには、新宿から大久保にかけてのラブホテル街も一掃するようです。すでにコマ劇場の閉鎖は決まっているようですから、それほど遠い未来の話ではないようです。

では、05年改正法による当局の最終的なねらいは何でしょう? 風俗店をなくすことでしょうか? しかし、いまのところ風俗店が撲滅される気配はありません。たしかに歓楽街のビルから店舗型風俗店は追い出されていますが、無店舗型風俗はむしろ活況を呈しています。しかし、それが実はワナだったとしたら……。

無店舗型風俗は、ホテル街の存在によって経営が成り立っています。しかし、今後の都市政策で新宿・大久保のラブホテル街がなくなるとしたら、どうなるか考えてみてください。同エリアを拠点とするほとんどの風俗店は壊滅します。05年改正法は、やはり風俗撲滅の地ならしだった可能性があります。

いわゆる高級デリヘルは、京王プラザ、パークハイアット、ヒルトンなどの高級ホテルを待ち合わせ場所としています。庶民には縁のないシステムですが、もしラブホテル街がなくなれば、生き残る風俗は高級ホテルを使う高級デリヘル≠セけになるのです。風俗遊びは富裕層の特権になってしまいます。

当局は、歓楽街の浄化という建前をよく使います。青少年への影響という建前もしかりです。しかし、本音は庶民から風俗遊びの権利を没収し、富める者だけが女を抱けるという風俗の格差社会化を推し進めようとしているフシがあります。いろんな風俗遊びを楽しめるのも、いまのうちだけかもしれません。

(2006.1.3記/2007.1.19改訂)


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